南インド、ケララでかなりveggyなhealthy life

インド人に嫁いだ日本人から、読んだ方が「私もインドに行ってみたい!」って気分になるような情報を発信してきます。

大隅先生、ノーベル賞おめでとう!

 12月10日医学・生理学賞受賞した大隅良典先生のノーベル賞授賞式が行われました。

 

実は夫、アヌーが日本で何を勉強し研究していたかと言うと、この噂のオートファジーです。

日本のニュースでさかんにオートファジーがとりあげられたとは思いますが、オートファジーというのは何か。すごく簡単に説明すると

”細胞が細胞内にある異常なたんぱく質や過剰に多くなったたんぱく質などを分解してリサイクルする仕組み”です。

 

体の中にある細胞一つ一つが毎日、毎時間、このリサイクル活動を行って細胞自身を新鮮に保って体中の健康を維持できるように頑張ってくれているわけです。

この活動が追い付かないほど、人間の体の細胞の中に異常なたんぱく質が増えてしまう事が、病気になる一つの原因になります。

 

 

www.asahi.com

 

アヌーは、この大隅先生の直属で研究していたわけではなく、その直属で学んだ弟子の水島先生の研究所で、オートファジーを研究していました。

この水島先生も凄い方で、数年前もオートファジーで大隅先生と並んでノーベル賞候補と言われた方です。当時は医科歯科大学、現在は東大の研究室で、さらに研究を進めています。

大隅先生とは、数カ月毎の合同ミーティングで出会えるだけ。その後の食事会での大隅先生の酒豪ぶりに、お酒の飲めないアヌーは驚くばかり。

 

日本に来て最初の1年は研究室のほとんどの人が毎日ロボットのように、研究している環境になじめず、研究も難しくすぐに結果が出るわけではないので、泣きたくなる程寂しい日々。笑うことを忘れた1年って言ってます。

その後の数年もどちらかというと辛かった日々が多かった彼。真面目な人が多い日本人の中、笑顔の少ない研究室で、大隅先生の笑顔はとても癒しになり、尊敬を深めていったそうです。

今はこの大変だった経験が自分の成長につながったし、そして何よりも、自分の関わっていた研究がノーベル賞の対象になったということがこの上なく名誉だと言います。

 

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さて、ノルウェー、オスロで行われた10日の授賞式は、自宅のパソコンでライブで見ていました。

大隅先生の頬が少しこけて、痩せた姿に心を痛めながら、式を見守ります。

プレゼンターが大隅先生の名前を呼んで、大隅先生が立ちあがった瞬間、アヌーが突然起立!メダルを受け取ると同時に、画面に向かって最敬礼!

「おめでとうございました!」

そして、大拍手。つられて私も、拍手。

会場も、衣装も、音楽も食事も、全てが夢の世界に見えますね。

 

 

 

 

 

IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授も受賞した際のインタビューでコメントしたように、基礎研究と言うのは世間から認めてもらいにくく、国からの支援や助成をもらいにくい環境にあります。そして、その研究をしている学生、研究生、技術者、教授も資金や就業環境も必ずしもいい環境とは言えません。

なんといっても、薬などの研究よりも結果が出るのに時間がかかるから。結果がでないことだってあります。

 

だから、今回大隅先生がこの受賞でもらった賞金を基礎研究支援の基金に充てるとおっしゃったことは、この分野の将来を思っての事だったと思います。

山中教授も大隅教授も、一番に考えるのは日本の将来・若手の将来・基礎研究分野の未来。

 

www3.nhk.or.jp

 

ここインド、トリバンドラムにあるアヌーの研究所での環境も、例外ではなく、数年単位で助成金を州や国に訴えていかないと、研究を同じメンバーで継続的に行えないようです。

明後日、水曜日はその助成金をお願いするアヌーのプレゼンテーションの日。

オートファジーの研究がノーベル賞を取り世界から注目され、週末に授賞式があったことが、審査員にいい影響を与えるといいのだけれど・・・。

問題は審査員が、研究の分野ではない職員ということ。ガーン(;一_一)

日本ではニュースになってるけど、インドでは全然ニュースになってない!

 

 

昨日日曜日、アヌーが日本にいる時に知り合ったインド人のお友達から、電話がありました。

彼は東大と国連大学で地球温暖化を研究していて、今は新潟大学で研究を続ける研究員。

地球温暖化と言ったら、今とっても熱い大事なテーマで、彼、すごく優秀な人みたい。

彼はアヌーに打ち明けてきました。

東京と違って新潟では、日本人がよそよそしくて他に外国人がいなくて淋しい・・・・。そして、大雪が辛い!寒いのは我慢するけど、雪が大変。

それで、アヌーにインドに戻って研究を続けるという選択はどうかなと相談してきたのです。

完全にホームシック状態。

 

アヌーは、「だめ、インドに戻ってちゃ!もう少し頑張って、大阪や東京に戻れる道を探せ。Tokyo is best」と励ます。

インドに来たら、給料は思いっきり下がるし、研究所の機械は常になにか壊れてるし、総務的な事をするスタッフは全く働かないし、友達は沢山出来るかもしれないけど、こっちにもエンターテイメントは全然ないじゃないか。

アヌーは、日本に留まることを強く推している様子。

 

私も彼と電話で話してみる。彼は日本語で「雪が辛いです。友達が出来ないです。大学と家の往復だけです。寂しい・・・」

・・・・可哀そうに(/_;)

私も、九州の人間だから雪国の辛さが分からない。でもきっと、私も北国でひとり暮らしをしたら、天気だけで気分が落ち込みそうな気がしてならない。

 

国籍を問わず、優柔な人が日本にいること。彼らによって今とても大事なテーマについて研究が日本で行われていることにとても価値があると思う。

お金やビジネスだけじゃなくて、優秀な人材を日本に集めることは日本の将来にとっても大事な気がする。

 

お友達とかなら、私からも何とかお手伝いができるのかもしれないけれど、大きな問題は、雪。これは私には、なんとも出来ないなぁ。

東京の寒さで、ユニクロのダウンを3枚重ね着して震えていたアヌーの姿を思い出した。

 

そして、今朝、彼はサンダルとTシャツで仕事場に出かけた。朝の出勤時間も、かなり自由。

 

ホームシックのお友達には色々言ったものの、なんだかんだいって、アヌーはインドの環境の方が気にいっているような気がしてならない。