インド人のありがとう&当たり前
前回のブログでインド人が「ありがとう」と「ごめんなさい」を
言わないと書いた。
ケララの現地語、マリヤラム語で「ありがとう」の意味、「ナンニー」と言ってみると、相手にちょっと笑われる。
ケララ州以外のインドに暮らす日本人も同じことを言っていたので
多分多くのインド人に共通していることなのではないかなと思う。
誤解がないように伝えると、基本みんな親切なのだ。初めてあったばかりのに家に招いてくれたり、道を聞けば数人集まって相談してくれたり、一人でいると話しかけてくれたり、簡単にヒッチハイク出来たり。(残念と思うのは、まだまだこの国は商業という面で消費者が優位でないということは確か)
ただ、ありがとうとごめんなさいという言葉を使わないだけ。
あいさつや礼儀を重んじる様に育った日本人の私としては、当初戸惑いがあった。
「マナーがない」、「失礼なんじゃない」、とイラッとすることもしばしば。
でもインドに1年暮らしてみて気づいたことがある。
「このくらいのこと、謝ったり、お礼を言ったりするまでもないと思っているのかも。」
小売店や会社、行政等のサービスの低さはこの際、置いておいて・・・(これは怠惰というか横柄というか、適当というか(−_−#))
こんな光景を見る。
ケース1:朝夕の通勤バスの中。
立っている乗客が、座っている乗客の膝の上に何も言わず自分の荷物を乗せる。時には小さい子供まで膝に乗せてくる。
ニコっと笑って荷物を預ける人もいれば、表情を変えずに荷物を膝に乗せた後に目で訴える人も。「荷物よろしく」
そして、荷物や子供を受け取った乗客も、当たり前のように荷物や小さい子供を抱えてくれる。
ケース2:映画館や講演会、レストランで子供が泣き出す。
映画上映中だって、誰かが話している最中だって、だれも不愉快な顔をしない。時には子供が立ち上がって講演者の周りをぐるぐる走り回ったって、何事もなかったように、話者は話し続け、聞き手は話に耳を傾ける。
(私はこの時、子供の行動とそれに対する周りの全く動じない反応に驚きすぎて、話に全く集中できなかったという。)『この子供どうにかしようよ〜』ってならない?
旦那アヌーにも、聞いてみた。『インドの子供はやんちゃすぎないか?』
アヌー:「うーん、子供って、そういうもんでしょ?」
ケース3:義弟が鍵を力任せにこじあげようとして、鍵が鍵穴内で折れた上に、鍵穴を傷つけた。またある時は家の中でボール遊びをしてカーテンレールの飾りを壊した。
私は、借りている家に傷をつけてしまった!( ゚д゚)と頭にきたし、大家さんにお詫びしなきゃいけないと思い、慌てた。
しかし、旦那アヌーも弟も、「このくらい大丈夫。」と真剣に取り合ってくれない。(それで更に私が怒るという・・)
大家さんがやってきて、アヌーが状況を説明する。大家さんは笑いながら、「Ok,Ok!」
カーテン部品は接着剤でなおしてくれて、鍵穴の傷は大したことないって言ってくれた。(えっ、そんなもんでいいんですか??)私は拍子抜け。
こんな日常がざらにある。
驚くほど寛容なのか、あらゆることを真面目に受け止めないのか、悪気がないならすべて許してくれると思っているのか・・・・。
自分にも他者にも許す範囲がとても広い。
自分自身や、日本人や日本の社会を考えてみる。
・・・・もしかして許す範囲が狭すぎる?
もしかして進行形でどんどん狭くなっている?
満員バスの中で荷物を預かるのも、場所を選ばず子供が泣き出すのも、当たり前といえば当たり前。
当たり前のことにはわざわざありがとうと言わなくてもいいのかもしれない。
ありがとうを期待して押し付けてもいけない。
ありがとうは優しさの表現の一つではあるけれども、相手の心を和らげる力を持っているけれども、マナー重視の日本がありがとうを重視しすぎた結果、かえって心の許容範囲を狭めているとしたら、ありがとうはなくてもいいのかもしれないなぁなんて思った。
ありがとうの反対の言葉は、当たり前と何かの記事で最近知った。有難し、有ることが難しいの反対だから、当たり前。
だからこそ、相容れないのかも。でも当たり前と思い過ぎて、今目の前に起こっている日々のあらゆることに感謝できないのも悲しいんだけど・・・。
心の許容範囲が、マナーという言葉で狭くならないようにと意識することが大切なのかなぁ。
自分からはありがとうを発信していくのは変えなくてもいいとしても、他人からのありがとうは期待しないようにしよう。
ごめんなさいも言葉より態度が大切。それよりも、こちら側が許す心を広く持てるようにしよう。
朝の出勤が30分、1時間遅れようと、友達の待ち合わせに全然間に合わなくても、できない約束を快諾しようと、『お互い様』で通ってしまうこの人達・・・。
月に1回は会う友達。時間は守れないよ〜とあらかじめ宣言する右下の女の子。
オーガニックレストランのスタッフで、こっそりカレーをサービスしてくれるおっちゃん。
先週、ランチをご馳走になったアヌーの友人宅。この時、友人は旅行中。
本人抜きで彼のお母さんと、彼の妹家族にもてなしてもらう。